嫁は一生の恋人 その伍|告白

大切な人を大切なままでいるために

俺が大事にしている事を話します

 

恋愛や夫婦関係に悩む方がいるのって切ないことです

このブログとの出会いで”目の前の大切な人と向き合う”想いを大事にするキッカケになれば嬉しい

そんな想いを込めて俺の恋愛経験を振り返りながら今日に至るまでの道のりを紹介させて貰います

 

Confession

気がつけば一番側にいたのは部下であり友人である彼女だった

 

彼女が入社して3ヵ月も経つ頃

俺と彼女はいつも行動を共にするようになっていた

相変わらずビリヤードやカラオケ三昧

そして互いの価値観を話し合う毎日だった

 

彼女と出逢うまでの俺は仕事が終われば夜の街へ繰り出しては
疲れて眠るまで遊び呆けてまた翌日も同じことの繰り返し

月曜から土曜まで皆勤賞で繁華街を遊び歩いた

若かったが金はあった

気付いたときには若手起業家か大手企業の重役の様に夜の街を闊歩していた

No.1にした夜の蝶(俺一人の力ではないだろうが)
アパートを借りてやった夜の蝶

まるでパトロン

今思えば不思議な時間だったが彼女と出逢うまでの俺はそんな毎日を過ごしていた

 

そんな俺の日々が彼女との出逢いでガラッと変わった

 

自分の気持ちに気付いた時

 

彼女と遊んだ日は大抵自宅付近まで送り届けるのが習慣になっていた

しかし、時折「最寄駅で良い」と言われる日がある

 

彼女が恋人と会う日だ

9年来の恋人がいることは勿論知っていたのでそんな日は気にせず駅で彼女と別れる

 

あの日もそうだった

遊び終えて彼女を送り届けようとしたとき

 

「今日は駅でお願いします」

『ああ、了解』

 

彼女を駅で降ろし後姿を見送る

 

その時

不意に涙が込み上げて来た

他の人のもとへ帰っていく彼女の後姿に言い表わせない切なさを感じた

(いやだ・・・いくな)

色んな思いが頭を一瞬で駆け巡ったが訳もわからず彼女を呼び止めた

 

『おい!』

 

振り向いた彼女に告げた言葉は今も覚えてる

 

『好きになっちまった・・・俺の女になってくれねーか?』

ぶっきら棒な言い方だった

自然とこぼれた言葉は彼女にどんな風に届いただろうか

 

 

微笑みながら優しい口調で彼女がいった

 

「だめですよ」

 

少し困ったような嬉しいような彼女の表情

俺にはそんな風に見えた

 

しかし現実は否定であり想いは受け入れられなかった

 

そんな彼女の言葉に対して何も言えない俺は

ただ彼女を強く抱きしめた

他にかける言葉を持っていなかった

 

どれくらいの時間そうしていただろう

 

暫くして彼女が

「・・・行かなくちゃ」

 

その言葉で現実に引き戻された俺は彼女をゆっくり放す

 

そして彼女は

 

「じゃあまた」

 

それだけ言い残して恋人の待つ場所へ帰っていった

 

一人取り残された俺は自分の取った行動の反動にドッと疲れて暫くその場に立ち尽くしていた

 

 

ゆっくりタバコを吸いながら・・・

(言ってしまった)

少し冷静になってようやく現実に戻った

明日からどんな風に接しよう

 

 

変わらない日常

 

彼女に想いを告げてからも日常は何も変わらなかった

仕事に私情を持ち込むことは元々嫌いなので社内では全くあの夜の事などなかったかのように振舞った

同じく何事もなかったかのように接してくれる彼女の対応にも感謝した

 

そんな風に何事もなく日々は過ぎて行き

一人諦めきれない心の燻りを抑えたまま迎えた週末

珍しく彼女から誘ってきた

 

「今夜すこしいいですか?」

 

断る理由も見つからない

 

『ああ・・・いいよ、飯?それとも撞きに行く?』

 

「話しが出来ればいいので任せます」

 

『了解、じゃあさっさと仕事片付けちゃおうか』

 

色んな想いが巡る

都合のよい展開を望む俺と

最悪のケースを想定する俺

 

ほどなく仕事も終わり彼女を乗せて海までドライブする事にした

 

あなたとの為じゃない

 

少し重い空気が車内に漂う

珍しくお互い沈黙を貫く

貨物船の明かりが遠くに見えるお気に入りの埠頭についたころ

沈黙に耐え切れなくなった俺が口火を切った

 

『珍しいな、お前から誘うなんて』

「ですね・・・いつも一方的に決めちゃいますもんね」

彼女は皮肉と言う感じでもなく淡々と言った

 

『そうだな』

「職権乱用ですよね(笑)」

ようやく彼女から笑いがこぼれた

 

『そうだな』

『で・・・どうした?』

元来せっかちな俺は本題が気になって仕方なかった

早く楽にさせて欲しい

 

「あぁ・・・実はですね」

少し間を置く彼女

 

「先週の夜、あなたとお別れした後彼と別れました」

 

 

驚いた

まさかの展開だった

同時に俺の頭の中は都合のよい期待で一気に膨らんだ

 

『え?それ・・・』

言いかけたそのとき彼女が遮った

 

「待ってください、違います」

「あなたとの為じゃないの」

 

その言葉は力強く

俺は一瞬で何もいえなくなった

 

 

 

シリーズ嫁は一生の恋人:次回「人付き合いが下手なあなたと誰とでも上手に付き合える私」

お見逃しなく。